活動報告

和次郎の朝鮮半島紀行 その4 清涼里

(1)あらすじとポイント
   清涼里にある林業試験場に勤める浅川巧(あさかわたくみ)は、
  柳宗悦(やなぎむねよし)や兄の伯教(のりたか)とともに、
  朝鮮民族美術館の設立に向けて奔走しています。
   「今回、柳さんは
朝鮮民族美術館設立に向けての展覧会開催のために、
  日本からやってくる。さらに小田内さんも、そして早稲田大学建築科の教授も」
  林業試験場の人間関係と、妻なき生活で意気消沈していた巧の心は久々に高鳴ります。

   巧は、帝大卒で理論だけを振りかざす林業試験場の上司が嫌いです。
  巧は、独自の植林法を考案するほど、現場に即した技術を持っていますが、
  上司の無理解のあまり、ときどき辞表を出す衝動にかられます。
  でも大きな理由があって退職することができないのです。
  
朝鮮民族美術館にとって重要なことでした
   巧は、前の年に最大の理解者である妻を失ないました。
  山梨の盟友に娘を預け、朝鮮人のまかない人との暮らしで、
  自分の不甲斐なさと、朝鮮人を心底愛しきれない自責・呻吟が続きます。
   また、妻の死とほぼ同時期に柳の妹が亡くなりました。
  柳の京城での活動拠点となっていた妹の家(朝鮮総督府キャリア官僚の今村武志宅(官舎))は、
  朝鮮民族博物館設立にとって大きな役割を果たしていました。

   しかし、柳はキム・ソンスと同じように「文化政治」の「追い風」に守られていました。
  それは朝鮮政界の重鎮が起こしたものであることを柳は気づいていたようにも思われます。
  和次郎が柳と出会ったときに受けた強いインパクトと違和感。
  その根源となる風のように思います。

(2)資料など
   朝鮮の土となった日本人(草風館)、浅川巧 日記と書簡
(草風館)、
   柳宗悦を支えて(現代書館)など

(3)文章
   今回の「その4」以後は、HPではあらすじだけの紹介となります。
   文章全体は、会員(あおもりコリアネット及びあおもりハングルサービス)や、
  研究等で必要な方にコピーを配布しますので、事務局までご連絡下さい。

   

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